DXを通した中小企業の労働生産性向上

Labor Productivity

活動を通して達成する項目

  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • すべての人に健康と福祉を

ゴールとKPI

2030年ゴール
デジタル化・DXの推進基盤となるビジネスプラットフォームを通して、誰もが一歩を踏み出せるソリューションを創出し、中小企業を主体とした持続可能な経営の実現を支援している
2024年ゴール
中小企業における国内シェアNo.1のビジネスチャットサービスにより、日本のビジネスコミュニケーションの効率化に大きく貢献し、これを基盤にDXの推進支援を拡大している
2030年KPI
当社ビジネスプラットフォームを利用する日本の中小企業数: 100万社以上

※ 当社のビジネスプラットフォームとは、「Chatwork」および「Chatwork」の利用を基盤として提供されるDXソリューションに関わるサービス群を指す。

考え方と体制

kubellが提供する価値とその実現戦略

日本には330万社を超える中小企業が存在し※1、日本の全企業数の99.7%、付加価値額の約56%を占めるとも言われています※2。日本の経済を活性化するには、中小企業の生産性を維持・向上させることが不可欠です。

同時に、現代はAI、IoT、ビックデータなどのデジタル技術を活用し、人々の生活をより良いものへと変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)」が世界に浸透しつつあり、企業の競争力と生産性を向上させる上で「DX」が重要な役割を担う時代に入っています。

ところが、中小企業の71.9%が「DX」の必要性を認識しているものの、既に取り組んでいる企業は14.6%、「取り組みを検討している」企業と合わせても31.2%の状況にあります※3。また、中小企業がDXに取り組む際の課題には「DXやIT推進人材の不足」「予算不足」「効果・成果が見えない」「何から始めてよいかわからない」「情報セキュリティの確保が難しい」などがあげられ、人材や予算、ナレッジの不足など自社だけで取り組むことが困難な状況にある企業が多いと考えられます。

当社は、2011年より電話やメールを代替するビジネスコミュニケーションツール「Chatwork」を提供し、今では38.6万※4を超える法人の皆さまにご利用いただいています。この大きな要因は、中小企業でも始めやすい「一歩先」のサービスを、「誰でも簡単に使えるユーザーに優しいプロダクトデザイン」で、「中小企業でも利用を継続できる価格」で提供し、ビジネスの現場においてコミュニケーションの活性化や労働生産性の向上に貢献してきたためです。

さらに「Chatwork」は、社内だけでなく社外の取引先とも1アカウントで簡単につながることができ、取引先とのビジネスを円滑に進めることが可能となるため、当社が営業活動を行わなくても、「Chatwork」を利用するユーザーのご紹介で新たな顧客の獲得につながるという特長を持つほか、あらゆる業界のユーザーが業務時間中に使い続けるという圧倒的なユーザー接点=「優れたプラットフォーム性」を有しています。

これらの特長を活かして、2023年6月、労働生産性の向上が最大の焦点となっている日本の中小企業に対し、ソフトウェアの提供だけではなく、DXされた業務プロセスそのものを提供するクラウドサービス(BPaaS)、「Chatwork アシスタント」を正式リリースし、より本質的なDXの実現を目指していきます。

これらのサービスは、DXを通した課題解決に貢献することはもちろん、自社が取り組む必要性の低い業務を外部化し、効率化することで、自社が取り組む価値が高い業務に専念するための時間を確保し、より優れた価値創出の実現に貢献すると考えています。

このように、当社は事業を通じて、長く低迷してきた日本の中小企業の生産性向上と価値創造に貢献し、サステナビリティビジョンで目指す社会を実現したいと考えています。

※1 中小企業庁ホームページ
※2 2024年版 中小企業白書
※3 独立行政法人(独)中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(令和5年)」
※4 2024年3月末時点

当社サービスの提供価値

2021年には、このプラットフォームの成長を加速するためにコーポレートベンチャーキャピタル「kubell BPaaSファンド(旧Chatworkスーパーアプリファンド)」を始動しました。これは、顧客属性が重なる事業提携先へ投資を行うことで成長を支援し、併せて提携先のサービスにニーズを持つユーザーを送客することでwin-winのシナジー効果を生み、プラットフォームの拡大を加速するものです。

このDX推進プラットフォームを基盤に、将来、中小企業の課題解決に必要なあらゆるサービスを提供する「ビジネス版スーパーアプリ」を実現し、日本の中小企業の持続的成長に貢献したいと考えています。

※ スーパーアプリとは、様々な機能を持つアプリを一つのプラットフォームから提供する基盤となるアプリのこと

Chatwork アシスタントはこちら
kubell BPaaSファンド(旧Chatworkスーパーアプリファンド)はこちら

kubellの主な取り組み

当社では、2024年2月に、2026年までに中小企業No.1 BPaaSカンパニーのポジションを確立し、長期的には中小企業市場における圧倒的なシェアを背景に、あらゆるビジネスの起点となるビジネス版スーパーアプリとしてプラットフォーム化していくことを目標とした新中期経営計画を発表しました。

新中期経営計画では、これまでの2つの戦略を、新たに3つに展開し、中小企業No.1 BPaaSカンパニーへ向けて事業を本格展開させます。

1つ目の戦略は、PLGを推進し、ユーザー数の極大化とアクティブ率を向上させることで、中小企業領域において他に類を見ない高価値なプラットフォームの確立を目指す「コミュニケーションプラットフォーム戦略」、2つ目はBPaaSを展開し、Techと人をハイブリッドした高い生産性のオペレーションを確立させ、経営における幅広い領域での本質的なDXを実現する「BPaaS戦略」、3つ目がR&Dを進め、グループのアセットポジショニングを活かし、ターゲットの拡張も意識した事業展開を推進することで、非連続成長の柱となる付加価値を創造する「インキュベーション戦略」です。

新中期経営計画(2024年以降)における3つの戦略

以下に、戦略の実現にむけて取り組む"社員の声"と"価値創出事例"をご紹介します。

「Chatwork」を用いた課題解決事例の紹介

医療法人 中津第一病院
「病院内のコロナ対応に真価を発揮!通常1ヶ月かかる対応が2週間で収束」

課題
  • 情報共有を効率化するためイントラネットの構築を考えていたが停滞していた
  • 電話、メール、FAXでやりとりしていたがそれぞれ課題があった
  • コロナ対応など緊急時の情報共有に課題が生じていた
解決策
  • イントラネットの代わりに「Chatwork」を導入
  • コロナ専用グループチャットを作成し、緊急時のやりとりを実施
効果
  • デジタルに不慣れなスタッフでも問題なく使用でき、院内の情報共有の効率がアップ
  • 電話、メール、FAXの課題が「Chatwork」で解消
  • 情報対応がスムーズになり、クラスター発生時の収束期間が半減
ユーザーの声

以前までの情報共有手段は主に電話、メール、FAXでした。電話はリアルタイムで情報を伝えられますが、相手の時間を奪ってしまいます。メールは自分のタイミングで情報共有でき、自分のタイミングで確認できますが、情報が整理されていないので重要な連絡が埋もれてしまうことがあります。FAXは対象の人が受け取るとは限らず、情報が伝わるまでにタイムラグが生じます。また、間に入った人が情報の重要度を把握していないと、早急に届けるべき情報だったのになかなか届かなかったという事態にもなりかねません。
このような課題を解決できたのが「Chatwork」でした。相手の時間を奪うことなく情報共有でき、グループチャットごとに情報が整理されているので、他の情報に埋もれることもありません。届けるべき人にダイレクトに届くので、情報伝達のミスも起きないのです。

導入前は想定していなかった予想外のメリットとして、コロナ対応があります。オミクロン株が出てからは感染者が爆発的に増え、当院でもスタッフに感染者が出始めました。患者さんには高齢の方もいらっしゃいますから、感染後の対応はしっかり行わなければなりません。
そこで、コロナ対応専用のグループチャットを作り、院内の感染情報を共有する体制をつくりました。スタッフの感染や濃厚接触が明らかになったら、そのスタッフが滞在した院内の場所や、院外での行動履歴を「Chatwork」で共有し、濃厚接触者の洗い出しや検査体制の構築などを行いました。また、感染者が出て自宅待機となった後も、体温や体調などの管理情報を「Chatwork」で共有し、現場復帰までがスムーズになりました。このお陰で収束まで通常1ヶ月かかると言われているコロナ対応を2週間で収束させることができました。「Chatwork」がなければできなかったことです。

医療法人 中津第一病院https://www.nakatsu-daiichi.jp/
大分県中津市の医療機関。泌尿器科をはじめ、内科、消化器科、腎臓内科(人工透析)、糖尿病内科、外科、形成外科、リハビリテーション科などさまざまな診療を行い、訪問リハビリや訪問看護、在宅医療も提供。

有限会社SCC大阪
「現場のストレスなくICT化を実現し、時間あたり生産性が約2倍に」

課題
  • 訪問介護の隙間時間が無駄になっていた
  • 利用者様に関わる日々の情報共有で漏れが発生していた
  • スタッフ間のコミュニケーションを取るのに集まる必要があった
解決策
  • 担当ヘルパーを入れた利用者様ごとのグループチャットを作成
  • 監査で必要な書類を「Chatwork」に置き換えることでペーパレスを実現
  • 「Chatwork」で事務所外からでも情報共有や連絡を可能に
効果
  • 急遽行くことになったヘルパーでもサービスの質を落とさずに対応
  • 監査のための書類作成にかかっていた時間が大幅に短縮
  • 助け合いが生まれ、職員同士も前向きに仕事に取り組めるようになった
ユーザーの声

ヘルパーの隙間時間を活かすため、2012年頃からICTの導入を検討し始めました。訪問介護は利用者様のご自宅を訪問しサービスを行うため、必ず移動時間が発生します。訪問の合間に事業所に戻ると、それだけで時間が取られてしまい、事業所に戻らないと逆に時間が余ってしまう場合があるのです。

また、事業所に戻らないことで、サービス提供責任者間の連絡が円滑にできず、事業所内のコミュニケーションも取り難くなるといった課題を感じていました。紙で作成したサービス実施記録を介護ソフトに転記するといったアナログな入力作業をICT化で減らし、管理者や事務員の負担を減らすことが急務となっていました。

「Chatwork」を導入したことで、目に見えて生産性が向上しました。導入前は、管理者や事務員など事務に関わるスタッフの1時間あたりの生産性は1,615円でしたが、導入後は直近3ヶ月間の1時間あたりの生産性が3,121円と2倍近くに大幅向上しました。事務作業の時間を短縮しながら稼働売上も伸ばせたのです。

また、「Chatwork」で情報共有がしやすくなり、働きやすくなったという声がヘルパーから上がっており、離職率の低下にも貢献していると感じています。「ヘルパー研修」「ヘルパー派遣表」「ヒヤリハット」「署名」などの現場の声がきっかけで作られたグループチャットが立ち上がり、多くの仕事がオンラインで完結し、業務を効率化することができました。「もっとこうしていきたい!」という現場の声を気軽に吸い上げられるようになったのも、「Chatwork」導入の効果かもしれません。

有限会社SCC大阪https://www.scc.osaka.jp/
1992年、整骨院として創業。2000年に法人化、2011年に介護事業、2018年にIT事業を立ち上げ。現在、整骨院1店舗、訪問介護ステーション1事業所、コワーキングスペース1ヶ所を運営。